2019年03月13日
2019年の青森県立高校入試、理科の問題に矛盾があったようです

あんず塾は毎年(他のところもそうだと思いますが)、高校受験を迎える中3生の割合が一番多くなります。その本番も終わり、あとは結果を待つのみ……となった今の時期、なんと理科の出題でミスがあったとの新聞記事が。
大問が6つあるうちの5番め、浮力に関する出題です。問題は以下で公開されています。
大問5には実験1と実験2が設定されていて、同じ物体を水に沈めているですが、計算していくと2つの実験で浮力の値が異なったものになってしまうのです。
同じ物体を水中に入れたのに浮力が違うというのはそもそもありえないのですが、どちらの数字で計算するかによって、ある設問では答えが2つに分かれます。この設問は実験2に関するもので、当初の解答は実験2で得られた数字を用いて答えを出したものなのですが、外部から指摘されたもう一つの解答例では、実験1で求めた浮力をもとに力のつり合いを考えています。私の感想としては、後者の方がスマートで、現象をイメージしやすい解法だと思うのです。
さらに小数点処理の兼ね合い(※)から、答えが2つ以上出てくるのでは?という声も挙がったようで、現在では解答が一定の数字の範囲内であれば正答として取り扱うことにしたようです。
※中学生の方にご説明すると、高校理科の計算では末尾のケタの処理が厳密になるので、これを実践するとまた違った答えになるということ。数学で勉強した「有効数字」というアレです。現在の中学生は数学で有効数字を勉強するのに、理科で使う機会がほとんどないので、塾で有効数字を取り上げても受講生はみんな「これ、何の役に立つんだろう」という表情をしてしまうのです。
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理科の出題ミスは起こりやすい?
高校入試での不適切な出題は、多くが理科で起きているような気がします。特に話題になったのは、都立高校の入試でしかも2回、両方とも天体分野での出題でした。こういうところも「理科離れ」の現象の1つということになるのでしょうか。
都立高校入試でまた出題ミス 理科教員の地学離れは深刻(WEDGE Infinity)
【高校受験2014】東京都立高校入試「理科」出題ミスで全員正解に(リセマム)
こういった出題ミスは、1つの問題を多角的に見られる柔軟な思考を持った受験生、多くの学習を積み重ねた熱心な受験生ほど苦しめてしまう傾向にあります。今回のケースは発見が早かったため採点・合格発表への影響はそれほど大きくないとは思いますが、受験指導に携る者として実際の例を目の当たりにして、色々考えさせられる出来事でした。