雑記

「民間英語試験」の格差について考える。青森県の例も少しだけ。

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英語テキスト

世間を騒がせている、大学入試における「民間英語試験」の延期ですが、報道があるたびに不安に苛まれるこれからの受験生のことを考えると、私も辛い大学受験を経験した身として、とても胸が痛くなります。

民間試験については「受験生間の格差拡大につながる」という批判がたびたび挙げられますが、あんず塾所在地(青森県十和田市)のような田舎に住んでいると、教育に限らずこういった経済的・地理的格差に絶望させられることはよくあります。

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そもそも「英語民間試験」って?

2021年より大学入試の「センター試験」に変えて、新しい試験「大学入試共通テスト」が導入されます。

従来のセンター試験はマークシート方式ですから、英語については読む・聞く能力の判定がメインになってしまい、書く力、そして特に話す力については検査が困難という問題点がありました。そこで、パソコンなどデジタル機器を活用することで、4つの技能(読む・書く・聞く・話す)すべてをチェックする試験の実施が必要というわけです。例えばスピーキングは受験生の音声を録音して採点するといった感じです。これに民間で行われる試験を活用しようというのがねらいです。

「格差が生じやすい」と言うけれど?

この「民間英語試験」、受験生1人ごとに仕切りのあるブースを割り振り、パソコンを1台ずつ提供して行うという新しい形態でのテストです。ここで生じる問題点が主に2つあり(本当はもっといっぱいあるけれど)、整理してみます。

  • 会場設営が大変で、受験地が限られる(地方会場が少ない)
  • 受験料が高額のため、試験を多く受けられる富裕層に有利

会場の問題

大学入試のための「民間英語試験」として認定されているのは7種類ですが、全都道府県で受験できるのはGTEC(ベネッセが実施)と英検(もちろん、ペーパーテストの昔ながらの英検ではダメでS-CBTというパソコンを使うタイプのもの)の2種類だけとのことです。

市町村レベルで考えると、青森県の場合、青森・八戸・弘前はGTECも英検も受験可能です(2019年11月段階)。あんず塾のある十和田市は残念ながら、両方共に市内の会場はない模様。お家の方に八戸市(30km、車で50分)まで送迎をお願いする形になるでしょうか。十和田市は6万超の人口がありながら鉄道駅すらなくなってしまった交通の便の悪い市です。

思い起こせば、私が大学受験するあたり(15年ほど前)から、市内の北里大学でセンター試験が受けられるようになりました。それまでの受験生は寒い中前泊で八戸に受験しにいっており大変助かったわけですが、今の時代はそれと反対のことが起こるわけですね(ただし、民間英語試験の場合十和田市であればスケジュール的に前泊しなくても大丈夫だとは思います)。

なお下北半島のむつ市で想定すると、GTECは会場を設けるみたいですが、英検は青森市まで(100kmちょっと、車で2時間近く)受けに行かなくてはいけません。

ちなみに「離島・へき地に居住または通学」している場合の救済措置は設けるようで、通常高3時点での試験成績を利用するところ、高2の成績でもいいとする取り扱いのようです(根本的な救済にはなっていないと思いますが)。青森県の場合は、むつ市・横浜町・六ケ所村・大間町・東通村・風間浦村・佐井村が対象とのこと。

遠隔地の受験生には、金銭面でバックアップする制度も設けると報道がありましたが、その直後に民間試験自体の延期が決定されたので詳細は不明です。

会場の設営の件ですが、パソコンを使った新型英検(CBT)は去年から始まっているものの会場数が少なく、予約受付開始から2、3分で満席になるという話もあるようです。大学受験用の英検S-CBTもこれに似た形で行うわけですから、新型英検の受験者から「こんな試験を大学入試に持ち込んで大丈夫か」という懸念の声も上がっていました。

受験料の問題

全体的に検定料は高めです。

  • GTECは税込6820円(経済的に困難な場合は2割減)
  • 英検は幅があり、税込5800~9800円(上の級ほど高額)
  • 2万円超の検定もいくつか

確かに会場設営も大変でしょうし、実施のコストは通常の筆記試験よりも多くかかると思いますが、最近の報道を見ていると「検定料が高い理由は他にもあるんじゃないの?」と思うこともしばしば。

受験回数について、大学受験に活用できるのは2回までということですが、裕福な家庭であれば準備という形で試験を何回も受けられるため、「富裕層ほど有利」になってしまう制度と言われています。経済的に余裕がなくても、正式な試験2回と、準備として計3回は受けたいところだと思います。受験料はその回数分必要になり、遠隔地の場合さらに交通費や宿泊費がかさみます。

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まとめ、そしていつも思うこと

英語力向上のためには、先ほどの「読む・書く・聞く・話す」すべての能力をブラッシュアップさせなければいけないのは確かです。でも、これを入試制度に取り入れるには、乗り越えなければいけない課題が途方もなくたくさんあることを強く感じた次第です。

それから入試制度に関して私がいつも思うのは、なぜ大学入試という重大な試験を、一番寒くて一番インフルエンザの流行る時期にやるのかということ。少し前に議論が起こった「秋入学」の導入も解決策の一つではありますが、その話題もいつの間にかほとんど聞かれなくなってしまいました。

もちろん制度を大きく変えるときには、受験生のことを第一に考えて慎重に行う必要があります。ただでさえ自分の人生設計に関わるイベントなのに、場当たり的な制度変更で重圧を受けるのはあまりに酷だと思います。

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